最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 彼女は優秀な魔術師という肩書きだけでなく、性格も容姿も完璧だった。

 彼女に直接会ったことはない。だけど有名すぎて僕では手も足も出ないことだけは、分かっていた。



 あの日……暴力を振るわれた日は強制登校日で、その日だけはなんとか学校に来ていた。

 これ以上来なければ退学の危機、だと。

 観心家の一人息子だということもあり、退学だけは許されずその日だけは余儀なく学校にいた。

 ……本当は、嫌だけど。

 学校に来れば、嫌でも心の声が聞こえる。

 それが分かっているのか、生徒はみんな俺に聞こえるように声にして言っている。

 それが……本当に、嫌だった。

 さとり族ってだけで怖がられ、蔑まれ、嫌われる。

 ……だから来たくなかったんだ。

 でもそうも言ってられず、あからさまに不良だという奴らに絡まれてしまった。

 適当に流していたのに、それが逆に彼らの反感を買ったようで拳が飛んできた。

 罵声をたくさん浴びせられ、魔力を使われたせいでもう心身ともにボロボロだった。

 僕は魔力を持たないし、喧嘩も強くないから抵抗なんてできるはずがない。