「栞って、呼んでもいい?」

「えっ?……い、いいですよっ。」

 呼び捨てに関してはもう慣れてきてしまっているから、何て呼ばれようが私は大丈夫だ。

 だけど、明李君のさっきの言葉が柔らかく聞こえたのは……気のせい?

 私の言葉に明李君はぱぁっと顔を輝かせ、それと同時にぎゅっと私の両手を握った。

「僕と栞、同じクラスだから……これからよろしくねっ!」

「……う、うんっ!」

 突然のことに驚いてしまったけど、私も明李君に笑顔を返した。

 クラスが一緒だってことは、これからは明李君ともいられるのかな?

 でも私、明李君のこと教室内で見たことがない。

 だからもしかして、この前二人が言っていた”強制登校日も学校に来てない人”っていうのは明李君だと思う。

 和向君も確かだけど、明李君の名前を出していたから間違いじゃないはず。

 どうして学校に来なかったのか、どうして今日は来たのか。

 そんな疑問が頭に浮かんだけど、きっと聞いちゃいけないことだ。

 そう考えて、私は友達が増えたことに喜びを隠せなかった。