最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

「あなたに何があったのかは分かりませんけど……そうやって卑下するのは、ダメです。」

 自分自身で貶めたら、もう戻れなくなるから。

「だから……もっと自分を大事にしてあげてください。」

 彼はあの暴力を、やり返さずに受けていた。

 それは、彼自身が強い人だから。それほど凄い人だという証拠になるから。

 話に熱が入ってしまった私を見て、彼は何故かぷっと吹き出した。

「やっぱり、変な人間。」

「へ、変、ですか……。」

 た、確かにここまで語っちゃったら変だって思われるよね……。やってしまったな……。

「だけど、昨日も今も……ありがとう。」

 そうやって言った彼はふふっ上品に笑っていて、それがとても嬉しそうに見えた。

 そんな彼に、つられて私も頬を緩める。

 その時、彼が突然こう口にした。

「僕は観心明李(みごころあかり)。……君は?」

「へっ……ひ、柊木栞、です……。」

 まさか振られるとは思わず、素っ頓狂な声を洩らしてしまう。

 彼はそれも面白かったのか、上品な微笑みを浮かべながら言葉を続けた。