最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 その時に不意に彼と目が合う。

 その瞬間、私は何故か彼に腕を掴まれてしまっていた。

「へっ……?」

「……ついてきて。」

 小さな声でそう告げられ、抵抗する間もなく彼に腕を引っ張られる。

「あ、明李っ……!?」

「しーちゃん!?」

 二人の声が後ろから同時に聞こえたけれど、彼はその声を無視して私を連れて行った。



 彼に連れてこられたのは、日があまり当たらない裏庭……らしき場所。

 確信がつけないのは、裏庭の存在自体を私が知らなかったから。

 彼はそこで立ち止まり、私の腕を離す。

 私のほうを振り返り、じっと見てくる彼になんだか緊張してしまう。

「あ、あの……どうしたん、ですか……?」

 沈黙に耐えきれず、私はゆっくりと口を開いた。

 彼はその声にも答えず、私の瞳を捉えるようにして見ている。

 ほ、本当にどういうことっ……?

「あの――」

「君、どうして昨日僕を助けたの?」

 もう一回聞こうとして口を動かしたけど、彼の言葉が被さってきた。

 どうして助けた、って……。

 その言葉を理解するのには少し時間がかかったけど、理解してからは早かった。