最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

「ぐっ……。」

 後ろでそんな苦しそうな声が聞こえ、私は慌てて振り返った。

 その男の子はパーカーを深くかぶってるから顔までは見えないけど、所々に傷が見えているのは確認できる。

 傷自体は全部浅いものだけど、放置してたらきっと化膿しちゃうものだ。

 とりあえず、保健室に連れて行かなきゃ……!

「あ、あの……立てますか?」

 恐る恐るその人に聞いてみる。

 だけど下を向いたまま返事を返してくれない。

 ど、どうしようっ……。

 きっと無理やり私が連れて言ったらこの人に不快な思いをさせちゃうことになるし、かといってここに放置もできない。

 ……よし、仕方ないよね。

「保健室、行きますね。」

 私は彼の担ぎ、ゆっくりと立ち上がった。

 こっそり治癒魔術もかけているから、傷は深くはならないと思うけどこれは気休め程度。

 しっかり手当てしてもらわないと治りそうもない怪我だから、心の中で謝りながら私は彼を保健室まで連れて行った。

 幸いなことに廊下には人の姿はなく、無事に保健室までたどり着くことができた。