最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 私は一人、喝を入れ直して気合を蓄えた。



「あれ?」

 いつも同様、新さんとお話をするために中庭に行くと新さん以外の人影が見えた。

 あの人、誰だろう……?

 長身細身でここからじゃよく見えないけど、何だか不機嫌そう?な人。

 どうしようかな、帰ったほうが良いかな……?

 そう思って近くでうろうろとしていると、新さんの声が聞こえた。

「栞、来たのか。」

 そう言いながら中庭の扉まで来てくれる新さん。

「あ、はい……。でも、お話されてるようなので……。」

 私がいたら迷惑になるよね、と考えた時新さんの後ろからさっきの人が口を開いた。

「お前が柊木栞か。」

「……っ。」

 フルネームで突然呼ばれ、思わず肩をびくりと震わせる。

 ふ、フルネームで呼ばれるのが、こんなに怖くなるだなんて思ってなかった……。

 でもこんなので怖がってるようじゃ、ダメだ……。

 そうやって必死に自分を落ち着かせようとしている私に、新さんが瞬時に気付いてくれた。

 そのまま新さんは私に近付いてくれて、優しい手つきで頭を撫でてくれる。