だからそこまで送ってもらうのは申し訳なさすぎる……。

「いや……一応牽制はしているが、どんな輩がいるか分かったものじゃないからな。」

 え……? け、牽制って……?

 そう思ったけどやっぱり申し訳なさのほうが大きく、私はわざとらしく大きな声を出した。

「あ、新さん! 私は大丈夫ですよ! それに新さんとは階が違うから……そこまでやってもらうのは、ダメな気がして……。」

 これは私の問題なんだから、ここまで頼ったらダメだ。

 懇願するように新さんに言うと、新さんは少しの間黙ってその後私にこう言った。

「分かった。……じゃあせめて、階段までは送らせてくれ。」

 うっ、流石にここでダメだとは言えない、よね……。

 譲歩してもらったようなものだからここで断っちゃダメな気がするし、新さんの困ったような顔がどうしても心に突き刺さってしまった。

「わ、分かりました。お願いします……。」

 学校まで送ってもらった上に教室近くまで送ってもらうような真似は本当に申し訳ないけど、逆に断るのもなんだかダメな気がしてしまった。