最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 むしろ……私には要らなかった。

 政府は私の存在をこれでもかってほど喜んでいたけど、私はそうはいかなかった。

 この能力があるせいで、私は結果的に生きづらくなってしまったんだから。

 有名になってしまったのもそうだけど、もう一つ大きな原因があった。

 ……それは、”幸せが手に入れられなくなってしまった”事。

 正確に言えば、私が、私自身が幸せを壊している。

『あんたがいなければ……!いなければ……!』

 ……っ、また、だ……。

 “あの出来事”のことが脳裏から離れたことなんてない。忘れられるはずがない。

 だから魔力なんて……要らなかったのにな……。

「……嫌な事、思い出しちゃったな。」

 言葉に表して、感情が暴れださないように息を吐く。

 ふぅ……まずは落ち着かないと。

 あの日の事なんて、割り切れるはずがないけど、今はそれを越えるくらいの幸せに囲まれている。

 疾風君も和向君も優しいし、明李君も仲良くしてくれている。

 翔葉さんは……どうか分からないけど、私のことを嫌ってはないように見える。