来栖さん、大丈夫かな……。

 あの日は勢い任せに言ってしまって、冷たい言葉を浴びせてしまった気がする。

 私のことが好きだって言ってくれたはずなのに、申し訳ないことしちゃったな……。

 きっと幻滅したよね、こんな奴だったのかって。

 でも私にとっては、それでいい。私は好かれるべき人じゃないから。

「そういや、栞。聞いたか?来栖のこと。」

「……っ!?……き、聞いてないよ……?何のこと……?」

 来栖さんという単語が聞こえてきて、思わずびっくりしてしまったけどすぐに平静を取り繕う。

 でも来栖さんのことって、いったい何のこと……?

 震えてしまった唇で聞き返すと、疾風君が続けて教えてくれた。

「何か最近、大人しくなったんだってよ。前は暴力事件を多々起こして素行もあんまり良くなかったのに、ここ最近それがめっきりないんだって。」

「あ、それ僕も聞いたことある~。最近みんなその話ばっかりしてるよ~。」

 そ、そうなんだ……。私のお願い、聞いてくれているのかな?

 ここ最近、来栖さんの話題を聞いたことがなかったから安心した。