最近、成生と皐月があの人間に近づき始めたって報告が入った。

 二人とも、僕の仲間じゃなかったのか……?

 一瞬そう思ったけど、仕方のないことなのかもしれないとすぐに納得する。

 僕のやり方は、自分でも思うけど結構悲惨。だからあの二人も柊木栞に同情したのかもしれない。

 だとしても、僕に内緒であの人間に近づいたのだけは許せなかった。

 せめて一言言ってくれればいいのに……。まぁそうしたら僕が行かせないか。

 最近は納得のいかないことが増えたし、面倒なことも増えたし、何もかもが上手くいかない。

 誰かに暴力を奮う気にもなれず、屍化としかけていた。

 せめてこれで、神菜に会えれば……。

 そんな淡い願いを抱いて、また魔獣を狂暴化させてしまった。

 神菜は優しいから、きっとこのことを知ったら怒るだろうな……。だけど僕には、これしかもうできなかった。

 一目でも良いから神菜に会いたい、と思い狂暴化した魔獣の様子を自分の寮の部屋で魔力を使って眺める。

 案の定、そこに神菜は現れあっという間に退治してしまった。