精神が狂うと、生き物は生きることができなくなってしまう。

 それをよく知っている私は、噛み締めるように言った。

 ……それに来栖さんは、一人じゃありません。

「来栖さん、私がいます。何か辛いことがあれば、このお守りを持っていてください。きっと来栖さんを守ってくれます。」

 その言葉と共に私は来栖さんに、一つの緑色のパワーストーンを渡した。

 これには私の魔力を少しだけ込めていて、何かあったらこれが守ってくれるはず。

「来栖さん、一人じゃ何もできないってあなたは言いましたが、そんなことはありません。来栖さんにしかできないこともあるはずです。」

 私にも、それは分からない。

 気休め程度の言葉だけど、来栖さんにしかできないことが必ずあるはずだから……。

「これからも応援しています、来栖さん。それでは。」

「あっ、か、神菜っ……!」

 テレポートする間際に来栖さんに呼び止められたけど、私は聞かないふりをして自分の部屋へと戻った。

 その瞬間に、力が一気に抜けてその場にへたり込む。

 ……っ、はぁ……。緊張、したっ……。