その時、ポケットに入れていたスマートフォンがバイブレーションしていた。

 もしかして……と思い、液晶画面を覗き込む。

 そこにはやっぱり、政府からの依頼の話が書いてあった。

 また、魔獣退治……。

 その文字を心の中で反芻させ、あの言葉を思い出す。

『クソッ!せっかく魔獣を使って神菜を呼ぼうとしたのに!』

 来栖さんの、あの言葉が本当ならもしかしたらこれも……。

 ううん、深く考えるのはやめよう。この依頼にだけ集中するんだ。

 きっと来栖さんがいれば、私にも気配が察知できるだろうし……来栖さんに、言いたいことがある。

 私は小さく意気込んで、はっと我に返った。

 これ、急ぎでって書いてある……。

 一刻を争う状態なのかもしれない、と結論づけ急いである人へとメールを送った。

《新さん、ごめんなさい。急用ができたので今日は中庭にいけれません。》

 そんな内容のメールを送信し、私は変装をそこで解いてテレポートを使った。