最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

「なぁ……人間。」

 その時に僕は、踵を返しここから去ろうとしたその人間を呼び止めた。

「な、何ですか……?」

 人間は若干怯えながらも、恐る恐るこっちを振り返る。

 怯えているけど、怖いと思っているわけではなさそう。むしろ、何かを気にしてるみたいで……。

 って、何で僕はそんなこと考えてるの。馬鹿みたい。こいつは人間なんだから、気にしなくてもいいのに。

 だけどあれだけはしないといけないと思い、視線を人間から外しながら小さく呟いた。

「めいのことは、感謝してる。あ、ありがと。」

「皐月がお礼言うなんて、明日は台風でも来るんじゃない?」

 頑張ってプライドを捨てて感謝を伝えたのに、隣からめいが茶々を入れてくる。

 めいは人の気持ちが分からないのか……。まぁ、人形だしな……。

「お前は失礼だな。」

 めいに冷たく言葉を返し、人間の様子を見る。

 人間は固まっているのか全く動かなかったけど、しばらくして我に返った様子になった。

 はっとしたようで、慌てて言葉を紡いでいる。

「い、いえ……お礼を言われるようなことは全く……。めいちゃんが元気になって良かったです。」