最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 だからこれだけ焦ってしまっているんだ。

 いつもは寮にいさせているのに、誰かが魔力を使って仕組んだんだろう。

 めいの声がなきゃ、どこにいるかだなんて分からない……。どうすれば……。

「うん!ありがとう、栞ちゃん!」

 その時、めいの声が微かに遠くから聞こえた。

 妙に嬉しそうで、誰かといる様子。

 栞ちゃんって……まさか、柊木栞?

 めい、あの人間といるっていうのか……?まさか、な……。

 今は授業中で、あんながり勉そうな地味女がいるとはどうにも考えにくい。

 だけど僕は、無意識に声のしたほうへと走っていった。



 ここは……あぁ、いつもめいが捨てられる場所か。

 声を辿って着いた場所は、いつもめいが弄ばれて捨てられる建物の影だった。

 またここに連れてこられたのか……と呆れ、僕は何の迷いもなくその影へと入った。

 薄暗く、人気も少ない廃れた場所。

 ここに近づく奴なんて、相当なもの好きでないといないだろう。

 でも……あの人間は、ここにいた。

「皐月!来るの遅い!」

 その人間の手の平に乗っていためいが、こっちに向かって飛んでくる。