最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 ……もう、全部が怖くなっちゃう……っ。

 そう考えると、収まっていたはずの震えがまた再発する。

 ……思い出したく、ないのにっ……。

 その出来事を払拭するように頭を左右に振る。

 ……だけど、怖いのは変わらなかった。

 どうし、よう……。

 そう思っている時、新さん部屋のドアを開けた音がした。

 どこ、なんだろう……?

 思考がまともに働いていないせいで、今の状況もよく理解できていない。

 新さんはゆっくりと私を下ろし、私の隣に座った。

 辺りを見回そうとしたけれど、また恐怖が不意に襲ってきて震えが再発してしまう。

 ……トラウマに、なっちゃいそうだ。

 ふっとそんな呑気な事を思うけど、まずこの震えをどうにかしなきゃと深呼吸を繰り返す。

 だけどそんなもので収まるほど簡単じゃなく、酷くなる一方だった。

 その時、新さんにぎゅっと抱きしめられた。

 安心させるように私の頭を撫でて、こんな言葉をかけてくれる。

「栞、ずっと助けてやれなくて悪かった。お前が苦しんでる事、知らなかった。」