ふっとそう考えていると、その直後勢いよくAnarchy室の扉が開いた。

「おい、新! 急にメール送ってきたと思ったら、どういう事だよこれ!」

「どういう事って……そのままの意味だが?」

 翔葉が焦った様子で俺にメールの内容を確認してくる。

 どういう意味も何も……言葉通りだ。

「《柊木栞に手を出した奴は、いかなる理由でも処罰の対象とする。どんな理由があろうとも、異論は認めない。》……何か問題があるのかよ。」

 これくらいはしないと、俺の怒りは鎮まりそうにないんだ。

 俺の返答に翔葉は呆れたような、困ったようなため息を深々と吐いた。

「まさかお前がここまで肩入れするとはな。……お前は他人には興味なんて見せないと思っていたが。」

 ……前の俺ならそうだったが、今は違う。

 栞だけは、違うんだ。

 栞ほど素敵な人間はいないだろうし、可愛い奴なんて存在しない。

 好きだから故の行動なんだから、当たり前だろ。

「まぁそこまで、お前を惚れさせた女ってことか。」

 独り言のように呟く翔葉に、心の中で「当たり前だ。」と返しておく。

 その時、また扉がバンッと大きな音を立てて勢いよく開いた。