『あぁ。あいつはお前みたいな奴が近づいていい奴じゃない。次、栞に何かしたら今度は殺すからな。』

 ……チッ、本当に最悪だ。

 さっき、神々の姿を見て挑発したのに、あっけなくやられてしまった。

 せっかくこの前の借りを返せると思ったのに……っ。

 だけど、今の神々の態度で分かったことがある。

 あいつは……相当あの人間に惚れ込んでるってことが。

 神々は御曹司なのに婚約者を作らないと公言していたし、生粋の人嫌いだからまさか一人の……あんな地味女に惚れ込むなんて、誰も考えなかっただろう。

 神々はどんな女が告白しても、なびいたことはないと聞いていたから尚更だ。

 まぁまさか、アイツがブス好きなんて初めて知れたから……面白い収穫だったな。

「来栖、新に喧嘩売ったのか。やめとけって言っておいただろ。」

 傍では咲空がため息を吐いて、僕を見やっている。

 そんなの、分かってたよ……。

 だけどあの人間……柊木栞を引き合いに出せば、何もできないだろうと考えてたんだ。

 それが結局、裏目に出てしまったけど。