最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

「……ありがとな。」

 どうしてここまで、こいつは優しいんだろうか。

 自分のことは後回しにして、他人のことばかり優先する。

 ……本当に、どうしようもなく変な人間だ。

 だが、俺はそんなお前が……溺れるほど、大好きだ。



 翌日もいつもと同じように栞と一緒に学校へ登校する。

 最初こそは好奇の目に晒されたり、陰で言われたりすることも多かったが、最近はあまり見なくなった。

 俺と栞がいることに驚いているのか、俺が登校しているのかに驚いているのかは分からないが……まぁ驚かれるのも無理はない、か。

 全く学校に行かなかった俺が突然来だしたら、変に思われるのは当然だろう。

 なんて、どうでもいい考え事をしながら栞を階段まで送る。

「新さんも、頑張ってくださいっ!」

 いつも別れ際にそう言われていて、どうしようもなく抱きしめたくなる時がある。

 こんな可愛い奴を、誰にも見せたくない。

「あぁ。」

 だが俺はそんな独占欲を押し込め、無理やりに口角を上げる。

 栞はいつものように、俺の言葉を聞いてからぱたぱたと教室のほうへと向かっていった。