最強さんは魔術少女を溺愛したい。② ~最強さんからの優しすぎる寵愛~

 そんな自分の気持ちが分からずに首を傾げていると、新さんの声が聞こえてきた。

「栞、また明日な。何かあればいつでも連絡しろ。」

「……っ、はい!」

 ぼーっとしてしまっていたから一瞬反応が遅れてしまったけど、私は大きな声でそう返した。

 新さんはそんな私の返事を聞いてふっと微笑み返してくれた後、心配そうに踵を返して帰っていった。

 自分の部屋に入り、ガチャっとドアを閉める。

 その途端、へなへなと力が抜けてその場に座り込んでしまった。

 一人になった途端、恐怖がまたやってきて無意識に震えだす。

「……っ、はぁっ。」

 やっぱりまだ、怖いって思ってしまう……っ。

 まだ恐怖が、自分の中にある……。

 新さんがいてくれて多少はマシになったと思っていたけど……全然ダメだった。

 こんな一つの出来事で恐怖に苛まれるって事は、私が魔術師として全く育っていないという証だ。

 ……ううん、私はもう“あの頃”と一緒じゃないんだから。

 私はそう思うようにして頬を叩いて、自分に喝を入れ直した。

「よし!」

 学校で何があっても絶対に負けない! こういう時こそ、魔術師の意地を見せる時だ!

 私はそんな気持ちを持つ事を心掛けながら、明日へと備えた。