本当にこいつは……どこまでも純粋すぎる。

 俺みたいな独占欲が強い男をこんな易々と自分の家に上がらせるし、無防備に抱きしめられている。

 こんなんだから、他の男にも狙われるんだ……。

 疾風と和向と同じAnarchy幹部の明李も、栞に好意を寄せているのは確定だろう。

 それに、理事長の息子……草薙と言ったか。あいつも多分、栞のことが好きだ。

 今日の放課後、あいつと話している栞を見て、どうしようもない嫉妬に襲われかけた。

 ただ話しているだけだとは分かっている。別にそれくらいは、気に障らない。

 ……と、思っていたが、俺は思ったよりも独占欲が強い男だったみたいでな。

『あはは……独占欲が強いですね。神々は。』

『強くて何が悪い。』

 草薙は表面上、にこにこしていて害のなさそうな奴だが、俺にとっては大ありの存在だ。

 栞には良い顔をするが、きっと腹の底は黒いんだろう。

 まぁ、俺も人のことは言えないと思うが。

 好きな女にはかっこいいところしか見せたくない。そう思うのは当たり前のことだ。