これまで私は、ずっと新さんの厚意を無下にしてきてしまっていた。

 頼れと言われても、新さんに何も言わなかった。何も求めなかった。

 頼ることが、怖いと思ってもいたから……。

 でも新さんの言葉に、少しだけ頼ることに前向きになれたと思う。

 もちろん、新さんに甘えるわけにはいかないから自分でできることは自分でするけど……。

「……はいっ!」

 新さんが言ってくれたように、もっと頼っても、良いのかな……。

 ふとそう考えてたけれど、少しだけなら……と思ってしまってもいた。

 こう言われてるし、私だって新さんに恩を返したい。

 私には、こんなことしかできないけど……。

 だけど私はこの時改めて、新さんが優しい人だということを再確認した。