まさか、成生先輩から謝罪が来るだなんて思ってなかった。

 びっくりしたし、失礼かもしれないけど……す、少しだけ怪しんでたところはあったから尚更。

 危害を加えられたり、嫌な事されたわけじゃないのに謝罪をしてくるなんて、きっと成生先輩は良い人なんだろうな。

 それにしても、来栖さんが私……元宮神菜のことが好きだってこと、初めて知った。

 私は恋をしたことがないから分からないけど、それがストレスってことは……やっぱり私のせいだ。

「おりちゃん、教室着いたよ。」

「……え?あっ、本当だ。」

 考え込んでしまっていたのか、知らないうちに教室前に到着していた。

 成生先輩の声に気付いて顔を上げようとした時、何かが凄い勢いで私に抱き着いてきた。

「しーおーりー!」

「へっ……わっ、あ、明李君……!?」

 大きな声と共に私に抱き着いてきたのは、何やら機嫌が悪そうな明李君だった。

 明李君は私をぎゅっと抱きしめたまま、成生先輩を睨みつけた。

「先輩?栞に何にもしてませんよね?」