「成生さん、どこ行くんですか?」

「んー?ちょっと散歩。」

 皐月に後ろから声をかけられたけど、俺はそれを適当にあしらう。

 皐月にバレるのも面倒だから、黙っていくしかないよね。本当、面倒だよね。

 俺はふっとそう考え、あの人間の元へと向かった。



「仁宇屋先輩がいるよ!やっぱかっこいいよねぇ……。」

「うん!だけどどうしてここにいるんだろうね?」

「でも何にせよ、目の保養だから別に良いよね~。」

 はぁ……毎度毎度結局こうなっちゃうんだよね。

 まぁ確かに三年が二年の階に来るなんて変だけど、こんなに注目しなくてもいいのに……とつくづく思う。

 あんまりヒソヒソされるの好きじゃないし、さっさと用事を終わらせて帰ろうかな。

 ”2ーS”と書かれた表札の教室に向かって、俺はこう声を張り上げた。

「柊木さん、いる?」

 あの子はどこにいるのかな……っと。

 ふーん……Anarchyに守られてるっていうのは本当だったんだね。あの子の周りに幹部が三人もいるんだから。

 ま、早めにあの子を渡してもらおうかな。