「俺がお前を守るから、安心しろ。」

 講堂から出た後、新さんの言葉が聞こえた。

 新さんにそんな優しい言葉をかけてもらって、また涙が溢れてきてしまう。

 ……っ、本当に、助けてもらってばかりだ……っ。

 今回も助けてくれて、新さんに何て言ったら良いか分からない。

「あ、らたさん……。」

 何か言わなきゃ、と思って声を発したけど、その声は思ったよりも震えていてか細いものだった。

 こんなのじゃ、ダメなのに……っ。

 お礼を言わなきゃ、いけないのに……っ。

 そう思うけれど、口が思うように動かず声もまともに発せない。

 新さんは私に視線を移し、優しい眼差しを向けてくれる。

「何も言わなくて良い。」

 私の心の中を読んだように、新さんはそう言ってくれる。

 何でこの人は、欲しい言葉ばかりくれるんだろう……。

 人に頼らないって、迷惑かけないって頑張っていたのに……こんな事じゃ、ダメなのに。

「……あらた、さん。」

 ぎゅっと新さんにしがみつき、うーと声を漏らす。

 怖かった……っ。来栖さんの表情も、生徒さんたちの声も、全部が。