「……どういうことだ」

「なんでも、ない……」


奏くんの手を振り払って、私は自分の部屋へと走った。


**


バタンッと静かな音に響いたドアを閉めた音。


……なんで、私のこと抱きしめたりするんだろう……本当に奏くんはずるい人だ。



ベッドに飛び込んで、触り心地のいい布団に包まる。


……ああ、泣いちゃう……美都、少しは希望を持ってもいいんじゃないの……?


奏くんは、たしかにあのとっても美人な美波さんに告白されてた。


でも、婚約するって決定したわけじゃない、のに……。


いや、文化祭を共に回ってたのならほぼ確実か……。


さよなら、私の片想い。