そこからしばらく、しゃがみ込んでボーッとしていると……。
ある光景を、目にしてしまった。
それは……。
「あの、奏……」
「……」
「私、美波朱里……覚えてるよね」
覚えてる……?
どういうことだろう……。
心臓が、とっても嫌な音を立て始めると共に胸がひどく締め付けられた。
「……それでね、私、奏のこと、好きなんだ……もちろん、花宮さんがいるのもわかってる。だけど、どうしても好きで……もし、奏さえよければ、私と婚約してくれない?」
っ……。
なんで……涙が止まらないの。
奏くん、なんて返事するのかな……?
さっき結構酷いこと言ってたけど……男の子は好きな女の子ほどいじめるとか言うし……もしかして、本当は美波さんのこと好きだったのかな?
じゃあ、私ってとっても邪魔者……?
今までのドキドキさせられるような言葉も、全部妹相手に言ってるつもりだったのかな……。


