この学園の校庭はものすごく広く、探し出すのはとても難しいと思う。
でも……奏くんが、私のこと、見つけてくれたら嬉しいな。
そんな思いでいると、私はスタッフの人が私を隠れる場所へと案内してくれた。
奏くんは無言だったけど、とっても優しい笑みを浮かべながら私に手を振ってくれた。
私も微笑んで奏くんに手をふり返した。
***
私が隠されたのはなんと……
ものすごい量で咲き誇っている、薔薇の影だった。
花壇の柵のような場所に絡まった薔薇で隠されていて、結構見つけるのが困難だと思う……。
奏くん、見つけてくれるかなぁ……?
その時だった。
ぽんぽんっと肩を後ろから叩かれる。
ビクッとつい震えるけれど、すぐに後ろを向くとそこには——
「遥希、くん?」
「ふふっ、そうだよ」
「どうしてここにっ……?」
っていうか、遥希くんも参加してたんだ……!
そりゃそっか、遥希くんも御坊ちゃまだもんね。


