美都は、俺の世界の全てだった。

色のない、何も感じない、満たされない世界だったのに、いつのまにか全て美都に彩られていたのだ。


幼い頃のことだった。


俺が生まれる前から、仲が良かったらしい両親同士。


俺が生まれて、一年後美都が生まれて……数えられるぐらいは遊んでいたらしいが、記憶はあまりない。


だけど、美都が５歳ぐらいになって、頻繁に遊ぶようになってから、どんどんと仲良くなって行った。


でも、それと同時に俺はこの世界に呆れて行った。


家を継ぐために、代々受け継がれてきた久宝家の教育面での仕来たり。


難なくこなすことはできた。

周りはみな俺を天才だと褒め称えて、色々なことをやらせた。


俺は才に恵まれているらしく、できないことはなかった。


だけど、そのせいでおかしいぐらいに満たされない。