「っ……奏くん、今久宝家の本邸へ用事があって行っているので、その間だけですが協力していただけるなら……」
「はい、是非」
これで、美都様と普通に喋ることができる。
我ながら驚くほど、胸が躍った。
「お部屋に入れると、バレた時に奏くんに(皐月が)何されるかわからないので、空き室でもいいですか?」
「ええ、美都様のご自由で」
「じゃああそこの部屋に行きましょう」
「はい」
なんだか、今の美都様は麗しく見える。
悔しいが、こんな方が次期久宝家当主の妻になるとしたら、相応しい、この方以外にはいないと断言できるほどに。
席につき、会話は始まった。
「……と、言うことで、奏くんの誕生日プレゼントのことで、何かいいと思う意見ってありますか……?」
「んー」
美都様、と言えば確実だろうが、それは今の自分では言いたくないことだし……。
「とりあえず、美都様からもらうもので有ればなんでもいいと思います」
「たしかに、奏くんは優しいので喜んでくれるとは思います、ですが心の底から喜ばせたいのです!」


