クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。

「当たり前じゃないよっ……!で、でもね、やっぱりありがとうだけは言っちゃだめかな?」

「……だめに決まってるだろ?これは、美都が俺を嫉妬させたのが悪いんだぞ?」

「そ、そうだよね……ごめんなさい、奏くん……これからは、ちゃんと気をつけるね」

「ああ、ありがとう」


そっと美都様の頭を撫でた奏。


すると……次の瞬間、


「っ……!」


奏と視線が噛み合った。


急にこちらを向かれて、驚きと共に悪寒がした。


盗み聞きなんて美都様に失礼だ、もう仕事に戻ろう。


早歩きで次の仕事場に向かって、気を紛らわしていた。


***


時刻は20時。

美都様のメモのことを思い出したのは、たった今だった。


……すっかり忘れてしまっていた……。


バイトの時間は20時半まで。

早く美都様に渡しに行かねば……。



そう思い、美都様の部屋に着くと……。


ガチャンッ


タイミングよく、扉が開いた。


「美都様」

「さ、皐月さん……!?」