クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。

諦めると決めたはずなのに、どこか執着してしまう……。
 
まぁ、どうせ時間が経てば忘れるだろうからいいか。

今は何よりも、美都様に会いたい。


その一心で、美都様の部屋へと向かった。


**


美都様の部屋の前に着き、ドアをノックする。


ドアが開き、現れた美都様。


「美都様、こちら落とされましたよ」

「……!」


ビクッと震えた美都様。

軽く頭を下げて、紙を受け取ろうとしていたところ、手を上に伸ばして届かないようにした。


「!?」


びっくりしている美都様。


「美都様、会話をしてはくださりませんか?」


そう問うと、首を左右に振った美都様。


「……」


どうしたら、喋ってくれるのだろうか……。

やっぱりこれは結構傷つくし、できれば美都様とも距離を縮めたいのが本心だ。


「……おい。何をしてる」


この声は……奏だな。


「たまたま美都様の部屋を通りかかったので、様子を見させていただいただけです」