クールな幼なじみ(将来の)旦那様は、私にだけ特別甘いようです。

「皐月さん」

「?どうした?」


話しかけてきたのは後輩の使用人だった。


「美都様、なんだか様子がおかしくて……お屋敷にお戻りになられてからと言うもの、奏様以外の者と言葉を交わしてくれないのです」


奏以外のヤツと……。

これはもしや、奏が美都様に仕込んだのだろうか。


アイツならなりかねないし、純粋な美都様なら受け入れかねない。


きっと当たりだろう。


奏にやらされているとは言え、なんかショックだな……。


よし、ここの掃除は終わったし次は客室——


グシャッ


何か紙のようなものを踏んだ感覚がして、下を向くと……。


「これは……」


紙を拾うと、お手本のように美しい字で綴られたメモ用紙のようなものだった。


【奏くんの誕生日プレゼント候補】


奏の……これは美都様しかいないな。


複雑な気持ちだが、これを渡しに行ってアドバイスをすると言うことなら美都様と話すことが可能になるかもしれない。