「……にしても、どうしてあんな噂が立ってるんだろうな」
「本当、大迷惑だよ……!」
皐月さんは私はいい人だと思ってるから、やっぱりお互いにこんな噂は邪魔だと思う。
第一……この学校、婚約者が決まっている人の割合が比較的多いはずなのに、どうしてそれがわかった上でみんな付き合いたいと思うのだろうか……。
……いや……私が、奏くんと婚約できたのが幸福だっただけなのかな。
好きでもない人と婚約して……本当に好きな人が自分のこと思ってくれてたら、そっちと付き合っちゃうよね……。
自分と奏くんを合わせた時に、その気持ちはよくわかった。
「美都は、本当に俺のこと好きなんだよな?」
「うん、大好きだよ!」
我慢できなくなって、奏くんにぎゅっと抱きついた。
「美都……」
安心したように奏くんは私を抱きしめ返してくれた。