「美都?どうやって部屋を出たんだ」


内心驚きを隠せない中、近寄ってきた美都をぎゅっと日向に見せつけるように抱きしめた。


「え、えっと……ひ、秘密だよ?」


なんだその言い方、上目遣い……可愛いの一言に尽きる。


「美都、ちゃん?」

「は、遥希くん……!あ、あの……」

「よかった、無事だったんだね!」


美都は日向が怒るかと思っていたのか、安堵している姿に驚きを目を丸くしていた。


「あ、うん……!なんとか!」


日向の方を向いて、今度は優しく微笑んだ美都。


感情が込み上げてきて、美都を再び強く抱きしめた。

アイツに美都の可愛らしい顔が見えないように。

 
「か、奏くん……?」

「……」


美都は、きっと俺がここまで嫉妬しているなんて知らない。


知らなくていいはずなのに、わかってもらいたい。


俺が、どれだけ独占欲が強くて、美都が誰かに奪われてしまうことを恐れているのか。