……驚きを隠せない。


シーンとした空気の中、口を開いたのはお母さんだった。


そして告げられる、“婚約者”の存在。


なんと、その相手は奏くんだったのだ。

「実は昔から婚約をしていた」なんて説明をされてしまった。

一体私はどうすればいいんだろう……。

「……美都、俺との婚約は嫌か?」

「う、ううん……嫌じゃ、ないよ」


首を左右に振る。

嫌ではない、だけど……とっても複雑な心境にいた。

だって、ここで婚約をしてしまったら、真実の愛は手に入れられないのだから。


もちろん、奏くんとは一緒にいられた方がいい。


けれど、気持ちはないのだと考えると胸が苦しくて。


ここから、妹のように可愛がってくれている私のことを奏くんが好きになってくれるなんてことを、考えられなくて。


「なら、よかった」


奏くんはそう微笑むけれど、私は愛想笑いしかできなかった。



***


時刻は22時30分。


ぬいぐるみさんがいっぱいあるふかふかなベッドの上で、私はうずくまっていた。

ぜんっぜん眠れない……!!

だって、まさか婚約するだけではなくて、