道中、道端に魔物に襲われたであろう馬車の荷台の残骸が目に止まる。森に入る前に襲われているとなると、すぐ近くに潜んでいる可能性もある。
気を引き締めなきゃ……!
自分がお荷物にならないようにと周囲を警戒しながら、森へと近づいていくと今までに感じたことのない殺気を感じる。
「飛空部隊、上からの状況確認及び詮索を」
「はっ」
森に入る前にリヒトからの指示を受けた飛行部隊のグリフォン達は、音を立てることなく上空へと舞っていく。
風を読んで飛ぶグリフォンの背に乗る騎士の一人が、こちらに向かって手信号を送ってきた。
「各員、配置に就け」
手信号を確認したリヒトの静かで凛とした声に、騎士達は指示された通り、挟み撃ちをするために部隊は二手に分かれた。息をするのも忘れてしまう程に、皆の洗練された動きに圧巻される。
いつもの訓練も凄いけど、現場の空気を纏う皆が別人に思えてきちゃう……。
仲良くなってきた騎士達の別の顔を見て、場違いな所に来てしまったのかもしれないと今更後悔する。だからと言って、一人回れ右して帰るわけにも行かないし、魔獣達の晴れ舞台を見ないなんて以ての外だ。



