これが国を、民を守る誇り高き騎士達の姿に感銘を受ける。
出発の準備が整い、騎士達は相棒となった魔獣の手綱を握りしめる。その姿が凛々しくて、頼もしい。
『乗れ』
何も言わずに着いてきてくれるフェンリルの有難い言葉に甘えて、背中に乗ると先頭に立つリヒトへと近づいていく。
『俺の仲間に無理をさせたら承知しない』
小声で呟いたフェンリルが一体誰に向かって言ったのか分からないまま、リヒトが走り出すとその後を追って騎士達も動き出す。
「私達も行こう」
『言われるまでもない』
颯爽と動き出したフェンリルに落とされないようにしながら、ミアは必死にリヒト達の横に着いていった。
騎士舎を出て、王都に背を向けるようにしながら川沿いを辿るようにしばらくと走ると、鬱蒼とした森が見えてきた。
まだ昼過ぎだというのに、森に掛かる霧は日光を遮っては暗がりを欲している。



