眩しい太陽の光を浴びながら、爽やかな汗を流す騎士達と共に戦術的な動きを習得する魔獣達の姿が当たり前になってきた、そんな昼下がり。

 まだまだ甘えてくる魔獣達だが、訓練になれば野生を感じる鋭い眼光が光る。

 魔獣本来の姿を取り戻してきていることに喜びと、寂しさを抱きしめながらミアは獣舎の掃除をせっせとこなしていた。



「訓練が増えたから餌の消費が早くなったなあ」



 食料庫を覗けば、明らかに食材の減るペースが早くなっているせいで少し前に補充した食材は底をつきそうになっている。ああやって野生に満ちた目を持つ彼らでも、その食べっぷりは育ち盛りのまだまだ手のかかる子供達だと小さく笑う。

 差し入れのおやつの準備を整えて、水分補給用の水を組み、訓練所へと向かうと二対二の戦闘訓練を行っていた。

 騎士が指示を出し、上手いこと立ち回る姿はミアの前で喉を鳴らす子だとは思えない。

 巧みに魔法を操り攻撃を繰り出し、俊敏にその攻撃を回避する。魔獣達の動きに合わせて騎士達も剣を振るう。本来の魔獣騎士団の戦闘スタイルに、毎日のようにミアは息を飲んだ。

 魔獣と心を通わせることが出来る騎士達にしか出来ない戦闘技術は確かにすごい。だが、彼らの仕事には、常に危険が付き纏う。

 何もなければ誰も傷つくことはないが、この世界はそれを許さない。