その目には、慈しむ心が映し出されているように思えた。
「俺を含め、ここの部隊の奴らは周りから忌み嫌われるような存在だ。自分達がそういう存在にも関わらず、捨てられた魔獣達にも周りと同じように目を向けてしまいがちになっていた。まるで……それで自分の心を保つかのように」
語り出したリヒトの声音はいつもとはどこか違う。
その声に、何故かミアの胸は締め付けられていく。
「魔獣達と向き合うことで、平等さを知った。そして守りたいものは本当は何なのかを、あいつらなりに考えただろうさ。お前が来て、この部隊は大きく変わった。まあ……俺には面倒事が増えたんだがな」
「す、すみません……」
「ミア」
名前だけで呼ばれたのは初めてで、ミアは肩を震わせながらリヒトの目を見つめると、不意に手を取られた。
ゴツゴツとしているのに細く長い指を絡めながら、握りしめられた手は彼の頬へと引き寄せられていく。
頬の感触が手に伝わるだけでなく、じっと自分の手を見つめられ、気恥しさにどこかに隠れたくなる。慣れない仕事で出来たマメは治ってきているものの、手荒れしている状態の手を見られるのは、年頃の少女に取ってはかなり恥ずかしい。
「だん、ちょっ……」
「あいつらが撫でられて、気持ちよさそうにしているのもなんだかわかる気がするな」
「そ、のっ」
「努力した証が現れている、優しい手だ」
「っ……!」
「さて――俺たちも訓練を始めるか」
「へっ?!」
そのまま押し倒され、地面の上に寝転んだミアは状況が掴めずされるがまま身を委ねてしまう。



