そして二つの魔力が色鮮やかに混じり合い、一筋の光が出来上がると、次の瞬間には魔獣は嬉しそうに騎士に体を擦り付けた。

 挨拶を交わし合う姿に、成功したのだと分かると、胸が熱くなった。



「やった……!!」



 自分以外に懐く魔獣達の姿に思わず声を出して喜ぶと、魔獣達はミアに見守っていてねというかのように目を細めた。感動のあまり自分の仕事を放棄しかけたことに慌てて気づき、次々と騎士達に相性が合う魔獣の手綱を託した。

 続々と心を開いて騎士達に打ち解けて訓練に取り掛かる魔獣達を見つめながら、まるで子供の成長を見ているような気持ちに、ミアの目頭は熱くなる。


 あれだけ……あれだけ人に心を閉ざしていたっていうのに、よく頑張ったねっ!偉い、偉いよ〜!!


 小さく拍手をしながら、騎士と魔獣達の様子を遠巻きに眺めていた。こうしてようやく始まった野外での実践的訓練はミアには専門外なため、ただ見守ることしか出来ないが、達成感に満ち溢れていた。




 ――残る問題を一つ除いては。





「フェンリル。あなたは団長とよ」


『断る』


「何やかんや、あなた達って似た者同士なのよ?」



 威圧的な所も、少々強引な所もミアはどことなく似ていると密かに思っていたのだ。決して、口に出しては言えたことではないが。



『オレはあいつに心を許すつもりもない。諦めろ』


「そんなあ……」


『それより、雑用係として仕事しないとまたあのクソ獣人に吠えられるぞ』


「うっ……」




 休憩所のテントの設営に、厨房から手渡された大量の昼食の準備、万が一の怪我の処置など、雑用係を任されているのだ。

 力仕事を女に任せる上司を恨みたくなる気持ちもないわけではない。