先日の自室での出来事といい、何がどうなっているのか分からず、されるがままのミアは頭がパンクしそうだ。

 悲鳴を上げようにも、魔獣達が反応してしまう事を考えて必死に我慢していると、離れたリヒトはミアの頭をぐしゃりと撫で回したかと思えば、不敵に笑う。



「続きはまた明日だ。じゃあな」



 どこか満足そうに去っていく彼の後ろ姿が見えなくなった所で、檻に背を預けながらズルズルと崩れ落ちる。



 な、なんだったの……。



 高鳴る心臓は落ち着くことなく、体は熱を帯びる。腕の中で鳴くスノウベアが、その体を擦り付けて冷まそうと試みるが、中々熱は引かない。

 真っ赤になった顔を誰にも見られなくて良かったと思いながらも、リヒトが言った明日が少し不安になる。

 夕方、獣舎に訪れたユネスが、野外での訓練を明日行うことを知らされた上に、リヒトからとある指示を出されたミアは、頭を抱えることしかできなかった。