だが幻想的な光景とは裏腹に、魔獣達は見せつけられる魔力の大きさに、遂に我慢出来ずに後退るや否や暴れ出す。



「あっ!」



 集中力が切れたように、プツリと騎士達の魔力の光は消え、心が乱れた魔獣が引っ張る力にバランスを崩す者が続出していく。

 攻撃まではしてこないが、明らかに警戒心を丸出しにして威嚇するグリフォンに、思わずミアは止めに動く。

 落ち着かせるように優しく撫でると、何とか暴れずには済んだものの、もう家に帰りたいと鳴き始める。



「ビックリしちゃったね。少し檻の中に戻してあげ――」


『ガルル……』


「うう……」



 ついつい甘やかしそうになるミアは、フェンリルからの圧に逆らえずに、とりあえず一匹ずつ落ち着かせるだけ落ち着かせて、後は騎士に任せることにした。

 何度も繰り返し心を通わせようと試みるが、時間ばかりが過ぎていくだけで、どの組も成功までは至らない。

 騎士達の集中力も切れてきて、額には汗が滲んでいる。魔力の解放を繰り返し行うことは、体力を使い続ける。