雲一つない空の下、ミアは魔獣達を一匹ずつ檻の外に出して、騎士達に手綱を引き渡していた。

 騎士達に怯える魔獣達だが、フェンリルの鋭い視線に逃げ出すのをぐっと我慢している。これも成長していくための一歩だと、ミアは心を鬼にしてその光景を眺めて気を引き締める。

 フェンリルに言われた通り、不機嫌なリヒトをどうにか説得させることに成功し、今日の訓練の日程を組むことができたのだ。無駄にはするものかと、一人静かに燃えていた。

 この子達だって、立派な魔獣だもの。ここに居る理由はちゃんとあるんだから。

 己よりも強い魔力を持つ獣人の騎士達を前に、魔獣は服従するしかできず、目を合わせることもなくじっとしている。そんな彼らに心からエールを送っていると、今日の指揮官を買って出たユネスが真剣な表情のまま合図を出した。



「始め!」



 ユネスの合図に騎士達は、自分の魔力に魔獣を共鳴させるために全身から力を放出させる。目に映る魔力の光は幻想的で、思わずミアは感嘆のため息を零す。

 自分の召喚術を使う際の魔法陣を展開する時とはまた違った魔力の形に、胸の高鳴りが止まらなかった。