確かに絶対に安全という言葉は使える自信は今のところはない。ただ、ここにいる魔獣達を信頼しているミアには、その絶対を約束したい気持ちが溢れる。

 裏切られた挙句捨てられ、日々怯えながら生きてきた魔獣達に、危険な生き物というレッテルを貼られたくなかった。召喚士として、魔獣達を騎士達の良き相棒にすれば、魔獣達に向ける視線は変わってくるはずだ。


 今の私に出来ること……それは、躾をしてあげる事。


 本来魔獣と心を通わせることの出来る騎士がやるべき事だが、騎士達に心を閉ざしている以上、ミアしかやれる人材はいないのだ。

 こうして檻の中にずっと居続ける彼らに、本来召喚された目的である役目を果たさせるのも自分の仕事だと、ミアは意気込んでいた。

 コカトリスから貰った羽をお守り代わりに常に持ち歩くことにした彼女は、制服の上からお守りをそっと撫でて、もう一度フェンリルを見つめる。

 躾をするにあたって、昨日会話をすることが出来たフェンリルから試そうと思ってはいたものの、中々反応を示してはくれない。

 だからと言って、ミアは挑戦を諦めるようなことはしない。



「まずは、散歩にでも行こっか!」



 好きなものから誘導していって、まずは檻の外に出して距離を縮めることから始めた。