どうしたのかと尋ねた直後、見えた光景に絶句した。



「あっ……あれは……」



 見えた光景に目を疑って、目を擦ってもう一度確認しても、街に並ぶ家々の屋根の上に大きな翼を広げる姿は消えはしなかった。

 鶏冠の生えたニワトリの頭に、尾からはフワフワとは似合わない蛇のような鱗の生えた尻尾を生やした姿は、普通のニワトリとは少し違う。

 轟音と共に遠くから聞こえてくる悲鳴をかき消すように、それは鳴いた。



「コケコッコォオオーー!!!!」



 実家にいた頃に、よく近所の牧場から聞こえてきた鳴き声とは比べ物にならない鳴き声に、思わず耳を塞ごうと思ったが腕の中にいるヒヨコの存在にどうしようも出来なかった。



「ピヨッピー!」



 恐ろしい鳴き声に嬉しそうに反応するヒヨコに、ミアはもしかしてと一つの考えが浮かんだ。



「もしかして、あれはキミのお母さん?」


「ピヨッ」


「ってことは……キミ、コカトリスの雛?」


「ピヨー!」
 


 正解とでも言うようにまだ小さな羽をパタつかせる姿は可愛いものの、現状可愛さに殺られていては事は悪化する一方だと我慢する。