甘噛みされるように首筋に唇を押し付けられたその途端、身体に電流が流れるように何かが弾けた。



「きゃあああっ!!」



 相手の身体を突き飛ばすようにして、ベッドから飛び起きて、部屋の壁にでもなるようにビタリと張り付いた。



「なっっなっ!!」


「あいつらには散々甘やかしておいて……俺からは逃げるのか?」



 前髪をかき分けて、艶やかな表情にも関わらず少しどこか寂しげだ。

 彼の表情にうっ……と胸が締め付けられる理由が分からないまま、起き上がってミアの元へと近づいてくるリヒトに慌てて、掛けてある制服を鷲掴みにして部屋を出る。

 まだ朝早いこともあって人目はないものの、寝起き姿を他人に見せつけるような、はしたない行動をしている自分を叱りたい気持ちでいっぱいになった。

 ただあの状況で何が正解なのか分からなかったミアには、こうして獣舎向かうことしか頭にはない。

 燃えるように真っ赤に染まった頬を冷まそうと、獣舎まで冷たい風を切って走る。



「っ……!あれは夢……夢よっ!!」



 うるさいくらいに鳴り響く心臓をぎゅっと握りしめて、ただひたすらに獣舎で待つモフモフ達を求めるしかなかった。