朝日が窓の外から降り注いできて、その眩しさにミアは意識を覚醒させていく。

 いつもよりもベッドの中の温もりを感じるのは、疲労が蓄積されているせいなのだろうかと、シーツに顔を擦らせた。

 起きなければと思うのに、妙に体が重たい。



「んん……」



 筋肉痛とは違うし、風邪ともまた違う体の重さに、思わず寝ぼけ眼を擦りながら首を傾げた。

 まだ働き始めて数日しか経っていないというのに、こんな早く体を壊しては周りから小言を言われてしまう。

 喝を入れて体を起こそうとしたその時、自分の力ではない何かがミアをベッドに引き寄せる。



「え……」



 突然のことに驚いたミアは力が掛かった方を見て、目を丸くした。

 規則正しく寝息を立て、長い睫毛が影を落とす綺麗な顔の持ち主がそこにいた。



 柔らかい毛並みの獣耳はミアの動きに僅かに反応するように、ピクリと動く。

 美しさに思考が止まっていたが、再び力強く抱き寄せられスッポリとその胸に収まった。

 自分の心音と聞こえてくる心音が合わさるのがよく分かり、陥っている状況をどんどんと飲み込んでいくのに拍車が掛かかる。

 髪を撫でられながら、身体は熱く火照るのにミアの顔は一気に青ざめていく。



「ん……」


「だ、団長……?」


「……なんだ、起きたのか?寝顔も中々に可愛らしかったぞ?」



 愛でるようにそっとミアの頬に触れ微笑んだリヒトに、心臓が飛び出そうになる。