リヒトに追い出されるように執務室を後にしたミアは、説教を食らったシュエルと共に、これから身を置くことになる獣舎へと足を運んでいた。

 道中、他の隊員達からの視線を感じながら歩くミアは、腕に力を込めると胸元から可愛らしい声が鳴る。



「いや〜まさか言う事を聞かない上に、懐かない魔獣をこんなに簡単に扱う召喚士様は初めて見たっすよ」


「私も何が何だかで……」



 ミアの腕の中にいるスノウベアは、ミアからは離れようとはせずベッタリだ。リヒトの執務室に置いてこようとしたが、泣き喚くような大きな鳴き声でミアの背中を追ってきたものだから、仕方なく同伴させることにした。

 可愛さのあまり、拒絶しようなどと考える暇もなかったというのが本音だが。

 お陰で蓄積された緊張感が緩和されて結果的には良かったとは思ってはいるものの、まだ状況を全て受け入れられてはいない。

 本来なら召喚した召喚士の元にいるはずの魔獣が、自身の腕の中にいるのだから無理もない。