そんな一生手が届かないはずの称号を、ほとんど経験がないというのに貰っていいものなのかと、言葉が詰まる。

 だからと言って、国王を前に無礼な言動は出来るわけないと、授けられた称号を受け取るしか選択肢はなかった。



「心より感謝致します、国王陛下」


「今後のそなたの活躍、期待しておるぞ」



 新米の召喚士でありながら、王国軍魔獣騎士団に入り、切磋琢磨しているのを認めてもらえたことに誇るべきだろうが……実際の所、今朝も召喚に失敗してフェンリルに小言を言われてきたのである。

 受け取って胸元に付けた称号がやけに肩に負担を掛けるように、重たい。

 神獣を喚び出した”賢者様の末裔”などと、変な異名までも王都では付けられているだとか、何だとか。

 愛想笑いを浮かべて、なんとかその場を切り抜けるために余計なことは口を開かないように徹底していると、無事に授与式は幕を閉じた。

 国王に最後の礼を述べ、踵を返すように騎士舎に帰ってくれば、そこはいつも通りの時間が流れていた。



「あ!おかえり、ミアちゃん」


「おお〜それが彗星の召喚士の証ってやつ?かっこいいな!」



 出迎えたユネスとシュエルがミアの姿を見つけて声を掛けると、次から次へと騎士達が集まり取り囲んだ。