「なんなら、俺に命じればいい。ミアを守る盾と剣になれと」


「それだと、私はただのお荷物になるじゃないですかっ!それに団長、この主従関係嫌いでしょう?」


「好きな女になら悪くない」


「っ……!」



 傲慢な獣は、ミアの反応を楽しむように小さく笑う。



「懸命に努力する姿も、魔獣と戯れる姿も、俺を前にすると赤くなるのも……全部好きだ、ミア」



 囁く声に身体が痺れて言うことが聞かなくなる感覚に、何とか抗おうとリヒトを潤む瞳で見つめた。

 逃げ場を失ったミアは、黙って食われるものかと頬を赤らめながらか細く呟く。



「私も……団長が好きです。これから先も、団長の傍に居させてください」



 精一杯の告白に脳が酸欠になりかけそうな時、ふと影が落ちた。




「愛してる」




 短く触れた唇の感触の後、囁かれた言葉に目眩がする。

 リヒトの触れる全てが熱を帯びて、熱い。

 嬉しいという感情に浸りたいミアに、まだ足りないと獣は唇を求めた。

 待てを言わせぬ早さで、リヒトはミアの唇を食らった。呼気を乱され、長く長く奪われた唇が解放されたのは、ユネスがニヤニヤしながら態とらしくリヒトの名前を呼ぶまで続いたのだった。